2007ダイワSBC投げ全国決勝大会

  • 日時:2008年5月11日(日)
  • 場所:福岡県鹿家海岸
  • 主催:株式会社 ダイワ
  • 成績:優勝

大会の模様

まさかの千々石

昨年10月7日長崎県千々石(ちぢわ)海岸。大会当日朝、決戦となる浜を目の前にして、選手全員が驚いた。浜には大うねりが入り、前日の天気からは想像もできないほど一変した状況だった。千々石海岸は、湾曲した海岸で背後は山が迫っているために天候の影響を受けにくいロケーションのはずだ。原因は遠く沖縄北部にある台風の影響でうねりがこの浜に入ったようだ。タイミング悪く一番最悪なコースを低気圧が通過したらしい。轟音と共に打ち寄せる大波で砂浜はなくなり、浜にセッティングしていたダイワの旗も波にさらわれてしまっていた。

観戦のために、拙者さんチームや百道浜挙動不振組合ことパーマン2号さんとむらさきさん達は、前日夜から千々石の駐車場で泊まり込んでいた。
國「昨日、千々石浜のえびす様にワンカップを奉納してくれました?」
むらさきさん「うん、あげておいたけど、お祈りは自分の大漁をお願いしておいたから・・・」
國「あれ、私の応援ではなかったの!?」
きっと、この方達、えびす様の前で不殺生なことやったかも・・・お怒りがこの状況に・・・とか想像したり

しばらくの時間、天候様子見のための待機となった。マッタリした時間を、神奈川サーフのS水さんと過ごした。S水さんとは、私が13年前に神奈川県在住の頃、大磯の浜で知り合ってからのお付き合い、湘南の本格的な投げ釣りを教わった、私にとって師匠のような存在の方。5年前、私が転勤のため九州へ戻るときに、S水さんと交わした言葉「全国大会で逢いましょう!」の実現が叶いお互い喜んでいたのだが、生憎の状況に苦笑い。釣り友達とトーナメントで再開できるということも全国大会ならではの嬉しい場面。大会中止の告知がアナウンスされ、決戦できないことを悔いながら次回再会の挨拶を行った。全国決勝大会はあいにく荒天のため中止となり、2008年に見送られることになった。

虹の松原またも悪天候

大会中止となって半年後、「2007年スーパーバトルカップ投げ全国決勝大会」は、2008年5月11日(日)に設定され、開催場所は、佐賀県虹の松原(唐津市)に移された。
大会、前々日の金曜日午後から天候は不安定となり、前日には九州南部を抜ける低気圧の影響で、唐津湾は強い雨足と北東の強風のため大時化となる状況に悪化した。前日の昼すぎ、集合場所の虹ノ松原の国民宿舎に到着した。ホテルの窓越しに見える虹の松原海岸は、真っ黒に濁り、大波と海草のかたまりが打ち寄せていた。ロビーではダイワのスタッフ陣が慌ただしく連絡を取り合っている様子であった。またしても、中止かと危ぶまれる状況に選手達は戸惑っていた。

ルール説明

ホテルの会議室に選手が集合し、ルール説明が始まった。決勝試合の開催は、風波の影響を受けにくい、福岡県「鹿家(しかか)海岸」で行う旨の告知があり。急遽変更となったことによる、鹿家海岸で下見を行った方達との不公平を補うため、石亀フィールドテスターによる、現場の海岸ポイント等状況の説明が行われた。選手の前に大きな白板に現場図が書いてあった。海岸の地形、浜の状況、川の流れ出し、沖にある根、下見で釣れた魚のポイント・・・わずか1日程度の下見による調査で、かなり詳しい説明が的確に行われたことに、石亀フィールドテスター含むスタッフの分析力に驚いた。

試合は6時30分開始~11時終了、総重量制の一本勝負とルール変更となった。気まぐれな天候による状況の中、余儀なく中止も十分考えられるため、勝敗を完結させるべく一本勝負も妥当な選択だと思った。これら、いくつかの余議ない変更があったが、この天候の状況を踏まえると各選手達も納得した様子だった。そういえば、神奈川サーフのS水さんの姿が見えない、私の師匠は大変残念ながら欠席となっていた。

大会当日の朝

当日朝、ホテルの玄関を出ると、昨日からの北東の強風が吹き、辺りの松原の林がざわついていた。雨も少々降っている。想定どおり悪天候の中での試合になることを再認識する。決戦の場「鹿家海岸」まではマイクロバスで15分の移動。選手が乗り合わせたバスの中に、当日の空模様に似た灰色の重い空気が充満していた。遙々遠方から九州の元気なキスに会いに来たはずなのに、残念ながらこの状況では満足な釣果を期待することは難しそうだと、皆が思っているからだろう。そう言いながらも、本日は一発勝負!各自作戦を思い巡らす緊張する瞬間でもあった。現場に到着、選手は皆一斉に海岸を見渡した、右側から吹いてくる北東の強風、波は高いが試合はできそうでちょっと安心した。本日入るポイントを何所にするか・・・・・。

鹿家海岸

鹿家海岸は、北西に向く大きなワンド状の約800メートルの浜。東側背後に山があり当日の強風を受けている。浜を東側(右側)から順に見ると、浜東側は強風を避けられる状況にあり海が若干安定している様に見える。東側はゴロタ石が多く投げ辛いが、前日下見で、良型がポツポツ出たと説明があった。中央部に小さな川の流れ込みがあり、この川の境目から西側(左側)は砂浜になるため足場が良くなる。川付近は瀬際と砂浜の変化あるポイントということだ。川から西側一帯は砂浜であるが、沖合の所々に瀬がある。西側に行けば行くほど湾曲した海岸のため強風にさらされ、波口の波も大きいものだった。一番西側には鹿家の浜を区切るように岩が張り出し、海の中までと続く瀬になっている。

場所選択に迷う

・・・・さて何処に入るか川の付近であれば、ゴロタ石の際と砂浜での遠投両方が狙える、いろんな攻め方ができる好ポイントであろう。しかし、このことはここの場所にいるトーナメンターならば同様の事を考えていることも予測できる。当然狭い範囲に選手が集まることになり、結果、魚が減るのではないか。避けたほうが良いかもしれない。ここは、皆が選びそうにない、釣り辛い西側に入ってみることにしようか。しかし、西側端には海藻がたまっているようなので、数投してみて仕掛けに海藻が付くようだったら、即移動したほうがよいと考える。第二の候補は、砂浜の沖合所々にある瀬際を攻めて良型を狙う。第三の候補は、さらに右に行くと大きな瀬がありその背の手前2~1色程度を探ってみる。最初は一番左側端に入りそこから徐々に東側の右方向へと移動することにおおよその段取りを立てた。そして、4時間半という長丁場だから各選手の様子を伺いながら臨機応変に移動をすることも考えていた。

試合開始

試合開始の合図。昨年のくじ順で二人づつ5秒間隔でスタートする。私は4番目のスタートであった、私の順番の前には、高橋名人やサイチャンプが控えている。彼らは、鹿家で前日下見を行っているので何所に入るかは気になるところだった。その後を追って行くのも良いかと頭を過ったが・・・・やはり、西側端に入ることにして、一番端に陣取ったT中君の横にクーラーを置いた。選手の多くは東側方向へと走っていった。

最初の仕掛けは、海の状況から、5号鈎の6本仕掛けに、天秤30号を選択した。餌はチロリと青イソを交互に付けて様子を伺うことに。一投目は4,5色に落とし、近場を探ることにした。前日の石亀フィールドテスターによる説明の中で、「近場で良型が出た」とあったからだ。強風のためラインがあおられる。

そして、仕掛けが流され動く。糸ふけが出来て上手くサビクことができない。第1投目の回収で、海藻の付いた仕掛けにピンキスが付いていた、チロリを食っていた。アタリが取れず何処で掛けたかわからない。二人向こうのキャスターもクーラーに取り込む様子が伺えた、キスが入ったらしい。この場所に、キスが居ることは確認できた。しかし、後が続かなかい。チロリにはフグが多く掛かり、そして海藻が仕掛けに絡まって邪魔をする。数投するうちに、左端にいた私とT中君2人を残して、皆東側へ移動してしまった。

やはり、ポイント選択がまずかったか。東側のみんなが集まっているポイントが気になる・・・
数投繰り返すうちに、5色と4色辺りに海藻の影響を受けにくいゾーンがあることを把握した。その狭い範囲を探るようにした。ブルル!アタリが入った!!ここは追い喰いを待たずに、一匹ずつ取り込むべきであろう、すぐに回収して18センチクラスをGETした。以後、このパターンで4色と5色の範囲をじっくり探っていくことにした。

試合中盤、名人が来た!

試合は中盤にさしかかり、ポツリポツリと掛けて4匹を捕っていた。東側から、高橋名人がこちらへ向かってくるのが見えた。高橋名人は私の視力が正しければ、川の流れ込み付近に居たのでは??名人が移動しているということは、川周辺あたりの人が集まっている場所は釣れていないのであろうか?名人は浜全体を探り歩いているのであろうか?高橋名人の釣りを間近で見れることなんてめったにないチャンス。名人の釣りを拝見しようとやや近づいてウォッチングタイム・・・私はいい加減なさびきをしながら、横目で名人をチラチラ見ていたらギューイーン!!竿を持っていかれるアタリが入った!!すぐさま巻き上げる、しかし、波口の大きな波が怖い、すでにこれまで2回も波口でバラシているからだった。波口で大きく立ち上がった波が足元でたたきつけている、海藻が付いた仕掛けは、巻き取りが重く波口でのコントロールも難しい。キスが見えている近い場所で魚が外れていくのを見るとショックが大きい・・・・。

たたきつけられた白波の中から本日最大サイズが現われた!!ラッキー!素早く掴んでクーラーに入れ込んだ。おっと!釣り上げた魚を高橋名人に見られてしまった!この場所で名人がどんな追い上げをされるのか!最大のピンチだった。「危うい終盤戦を心得て、気合いを入れ直して頑張ろう」そう考えながら振り向くと、遠ざかっていく高橋名人の背中が見えた。名人はここで3投しただろうか?なぜ、向こうに戻っていくのか疑問だった。もしや、向こう側の方が釣れているのであろうか?今回、西側左端に2人だけ釣り座を構えていた。あとは、遠く離れた場所に選手がいる、隣のT中君以外の選手の釣れ具合が把握できる状況になかった。周辺の魚の量が把握できないため、順調なのか?出遅れているのか?そう、考えていると不安になってくるものだった。高橋名人が去ってから、西側左端に二人だけでの釣りとなった。

私の東側200mは誰もいない、しばらく空いているこの場所に移動することにする。2投づつ探りながら点々と移動し200mほど動いたがキスのあたりが無かった。全体的にキスは少ないなーと理解し、元の場所西側端に戻ることにする。

終盤戦

の場所に戻り、ポツリポツリと追加した。しかし、徐々に探っている4色ポイントが海藻の影響を受け始め苦戦するようになる。私の東側にも関東勢が移動してやってきた、やはり、東側から中央部は状況が厳しかったようだ。このまま、ポツリポツリでも追加していけば、チャンスがありそうな空気が感じられた。遠、中、近場と探りながら良型キスを探すが、海藻に邪魔をされて苦戦をする。残り1時間を過ぎた頃、隣に居たT中君が良型キスをあげた。キスが回遊してきたか?ポイントを探るが、海藻が絡まり苦戦を強いられる。T中君は連続で掛けてくるが、私の仕掛けには海藻ばかり、海藻の中からピンキスが掛かれば良い方だった。T中君は終盤に良型3本を上げて一気に追い上げを見せた。ヤバイ!!潮の干満と流れの変化で海底にある海藻の場所が変わったようだ。
それに、気づいていない私は同じ場所を探っているため、海藻に苦しめられ、結果良型キスを捕ることができなかったようだ。私はラストの1投でピン1匹を追加した、T中君の良型3匹を確認している、結果は検量までわからなくなった。

結果

検量は鹿家海岸から国民宿舎のホテルに戻って行われる。選手が乗り合わせたバスの中の会話で、厳しい状況が伝わってくる、一方で誰々さんが良型を上げていたとか・・・。ホテルに到着して検量。周りの選手が私のキスの入ったビニール袋を覗いて、「期待できる」との噂が・・。しかし検量するまでは分からない、と期待せずに順番を待つことにする。検量の結果は(466g・10尾)で運良く優勝することができた。3位までの結果は、優勝:國(466g・10尾)、2位:T中選手(347g・8尾)、3位:高橋選手(335g=7尾)、2位と3位は非常な僅差だった。

タックル

ロッド:サンダウナーコンペⅡ31-405
リール:トーナメントサーフZ45Ⅱコンペ
ライン:PE0.6号
シンカー:トップガン30号、拙者ウッドシンカーM型30号+L型、Lキャッチ30号
エサ:チロリ、アオイソメ、ジャリメ
仕掛け:モトス1.5号、ハリス0.8号、鈎キツネ型5号の6~7点鈎中心にほか多種使用

御礼

たくさんの応援に集まっていただいた皆様へ中止になった千々石から鹿家まで度重なるお付き合いありがとうございました。皆様の後押しで、実力以上の力を発揮することが出来ました。ここに厚く御礼申し上げます。

2008年全国決勝大会

次回、2008年バトルカップ全国決勝は10月12日、中止となった千々石海岸で開催される予定です。私は、幸いシードで決勝大会に参戦できます。勝ち上がって来られたトップトーナメンターと競い合えるよう、また、恥ずかしくないプレーを行うよう精進したいと思っております。全国決勝大会 千々石海岸での無事開催と大漁を願っております。