2004シマノJC九州大会

4月4日、大会2ヶ月半前
北九州でのキャスティング大会の当日の朝、待ち合わせの場所で、
「シマノジャパンカップとダイワの大会に一緒に参加しましょうよ。」
「私は申し込みますよ。自分の実力を知る良いチャンスですよ。」申込書を渡しながら、キスハンターさん。
「出ようかなー」

そう言うノリですべてが始まった。大会が終わって帰る車の中で「僕がキャスティング用に改造したがま投ジーシス33-400あげましょうか。」とおいちゃんキャスターさん。「えっ、いいんですか。欲しい欲しい。」  

4月5日
申込書の所属クラブ欄「あれ、何て書こう。拙者の投げ釣りファンクラブ。これで良し。」

4月24日 大会2ヶ月前
午前5時、姉子浜で投一筋さんとAさんと待ち合わせして実釣開始。がま投ジーシス改の第1投目。「なんじゃこりゃ。」予想以上に堅く。竿が曲がらない。「右手を押し出すイメージで、竿の胴を曲げる事。」おいちゃんキャスターさんの言葉を思い出した。
しかし、イメージ通りのキャスティングはできなかった。それからキャスティングフォームの改造が始まった。シマノのキャスティング動画を何度も見て、通勤時に本を読んでイメージトレーニング。家では暇さえあれば素振りをした。

そして何とか5色+α飛ぶようになったが、方向性と飛距離が安定しなかった。「良いリールが欲しい。」なぜか思考回路が妙な方向に走り出した。気が付いたら、ダイワZ45ⅡかシマノテクニウムMgのどちらを買おうか迷っていた。「やっぱりリールはシマノでしょう。」キスハンターさんの一言で、シマノテクニウムMgを注文していた。

5月22日 大会1ヶ月前
17時、第2回拙者杯キス釣り選手権大会の前日の姉子浜。キスハンターさんと釣り吉さんと待ち合わせして実釣開始。がま投ジーシス改とシマノテクニウムMgの組み合わせで第1投目。「軽い。曲がらない。飛ばない。あれー、なんか変。」こんなはずじゃなかったのに。またまた、ジレンマにはまってしまった。

それもそのはず、タックル全体で約200g軽くなっていた。おいちゃんキャスターさんに相談したら、
「錘が乗ってないのでは。力糸をナイロンに変えたら。」今までずっとPE力糸だったので、抵抗があったが、ナイロンに変えたら、若干飛距離が伸びた。でもいまいちだった。

6月5日 大会3週間前
呼子尺ギスツアー中の休憩時間。おいちゃんキャスターさんにキャスティング指導してもらった。「右手の押し出しに集中。」「左手は支点と考え引き付けず自然に。」「アドレス時の視点は飛ばす方向上空45度。」「その視点の位置に投げるつもりで力糸をリリースする。」

第1投目「おー、いいかも。」第2投目「飛んだー。」第3投目「7色飛んだ。信じられない。」結局8投して7色飛んだのは2回だけ。あとは6色止まり。コツはつかんだが安定しなかった。

6月12日 大会2週間前
野北海岸、午後4時頃。國さん、てらさん、キスハンターさん、釣り吉さんと拙者の5人。「ジャパンカップの時もこれくらい接近して釣る事がありますよ。」と國さん。他の人が投げる時はスペースを空けてあげて、順番に投げた。そのうち拙者の一投が、てらさんとキスハンターさんのラインを斜めに横切った。それを見ていた二人は拙者のラインの下をくぐった。やっぱり、こんなにくっついて投げるからどうしても仕掛けが絡んでしまう。「仕掛けが絡んでも平気な顔してる奴がいるからなー。」とてらさん。

「大会の時は始めのうちは釣れるけど、中盤以降は釣れなくなりますよ。」
「そこをどう釣るかが勝敗の分かれ道。」
「だから鈎の選択が重要ですよ。」
「きっとピンギス勝負になるから、小さめの鈎が必要です。」
「そして人よりもできる限り長い時間釣る事が大事。」とキスハンターさん。
「拙者さん、チロリは海水に入れた方が長持ちしますよ。」と國さん。
なるほど勉強になる。

6月16日 大会10日前
つり源で、がまかつキススペシャル鈎4号5号6号、サーフファイターブラック力糸2~12号を購入した。

6月19日 大会1週間前
午後1時頃、大友海岸。てらさんと尺ギスツアー中。「てらさん、キスのアタリ無くなりましたねー。」「キャスティングの練習しますね。」大会用のタックルは結局、方向性と安定性を考え、シマノサーフカスタム405CXとテクニウムMgの組み合わせにした。練習開始。やはり、がま投ジーシス改に較べて投げやすいし、安定している。飛距離は6色。なかなか7色まで飛んでくれない。気がついたら、てらさんもキャスティングの練習していた。

「もう少しで7色なんだけどなー。」
この釣行では、園芸用の小石に海水を浸し、その中にチロリを入れた。時間が経ってもチロリはつやつやピンピンだった。大成功。

6月23日 大会4日前
大会の集合時間は何時かなと思ったら、大事な事に気が付いた。参加通知書が送られて来てない。
「シマノから郵便物なんて来てないよ。」とカミさん。申し込んだ釣具店に問い合わせした。明日シマノに確認してもらうことになった。

6月24日 大会3日前
釣具店から連絡があった。「確かに参加者名簿に載っています。参加通知書は送付されています。」良かった。一安心。おいちゃんキャスターさんからジャパンカップ会場の下見情報が入った。「濁りがひどく藻が多くですよ。」「アタリがあってもはずれやすいので、鈎掛かりしたらバレない鈎が必要です。」「ピンギスが多いです。チロリが有効みたいです。検討を祈ります。」

雨が続いていたので、思った通りの状況。鈎をどうするかが問題になってきた。國さんがオーナーのキスR6号7号を余分に持っていた。それを分けてもらうことになった。ラッキー。号鈎はどうするか。フィッシングショップ和白に電話した。「キスRの5号ありますか。」「キスRはどこの店にもまだ入荷してないですよ。」

「確か國さんが余分に持っているから分けてもらったらどうですか。」と店員さん。「あれ。」「あー、拙者さんでしょ。chichiです。」「あれ、和白に電話したのに。」「何で。あーそうか。電話登録間違えてました。すみません。」あせった。

6月26日 大会1日前
午前7時頃。
「雨降ってますね。午後から止むようなので、午後に行きましょう。」と國さん。

午後2時頃
「拙者さん、今どこですか。」「宗像のヤナイです。」「そっちは雨降ってないですか。」「降ってないですよ。」
「1時間後に現地で合流しましょう。」

午後3時前。新松原の大会会場に到着した。降り続いた雨の影響で汐入川は茶色に濁っていた。河口から東側の大会会場方向には、川からの濁りがゴミ混じりで流れてきていた。数名の投げ釣り師がいた。
「釣れないですね。釣れてもピンギスばかりですよ。」思った通りだった。

しばらくして、 國さん到着。約束したチロリとキスR6号7号を分けてもらった。大会にはチロリと先ほどヤナイで買った岩デコの2種類の餌で臨む事にした。タックルの準備をして、砂浜に向かった。
タックルはもちろん、シマノサーフカスタム405CXとテクニウムMg。
ゴミが多い事を考慮して、道糸はPE1号にした。半年振りの新松原。それにしても広い。どこにキスがいるか全く見当付かない。やはり、濁りとゴミがひどい。

「こんにちは、どーですか。アタリありますか。」と拙者。
「ピンギスばっか。」
「あれ、確か北九州で開催されたキャスティング大会の時にお世話になりました。」
と拙者。翌日、 國さんに確認したところ、投好会の小谷さんだった。

河口から東へ100mほど歩いたところで、1投目。全くアタリ無し。やはり思った通りゴミが多い。道糸にいくつも絡み付いてきた。もちろん鈎にもゴミが掛かってきた。その後、数投しても全くダメ。
「 國さん、アタリありますか。」
「ダメですね。移動しましょう。」
さらに東へ移動した。多少濁りが少なくなったような気がした。さっそく投げてみた。

岸まで探っても全くアタリ無し。フグもいない。 もちろん、國さんは拙者よりもはるかに遠投しているが、アタリ無し。
「赤い旗の所まで行って見ましょう。」と、 國さんが言った。さらに東へ歩いた。今までキス釣りでこんなに歩いた事なかった。大会は体力勝負という事を痛感した。旗の所まで歩くと、さっきよりも濁りは少なかった。投げてみた。
予想に反して、ここもゴミが引っかかる。どこもゴミが多いのだ。いつの間にか 國さんがピンギスを釣りあげた。
「やっとキスがいましたね。」と拙者。

「こんな状況だから、もう釣れないと思ってました。」と國さん。
数投して、拙者にもアタリが来た。ゆっくり岸まで引いてきたら、12cm位のピンギス。やっと1匹。明日の釣果を祈願して丁寧にリリースした。それから数投しても全くアタリ無し。気がついたら5時過ぎ。終了時間になってしまった。結局、どの辺りにキスがいるか、全く掴めなかった。それに、餌はチロリが良いのか岩デコが良いのか、鈎は何号が良いのか、分からないまま、下見は終わってしまった。

タックルを車に詰込み、
「それじゃ、お疲れ様でした。」と國さんに挨拶。
「拙者さん、こちらchichiさんと同じクラブのCBさん」
「シティーボーイのCBです。ほんとはカントリーボーイ。」とCBさん。
「こんにちは、あれ、北九州のキャスティング大会で一緒でしたよね。」
「それに去年の秋の古賀海岸でのクラブ練習会の時も。」と拙者。

帰宅中に、キスハンターさんに電話した。
「今、何処ですか。」
「つり源の近くを走ってます。雨が降ってます。」
「釣れません。練習終了して帰宅中です。」
「キスハンターさん、お気を付けて。」
キスハンターさんは今日から会場に入って、車の中で朝を待つとの事だった。

その日の夜。
「シマノから郵便来てない。」
「ごめん。たぶん、ずいぶん前に何か来てたけど。」
「売り出しのDMと思って捨てちゃった。」
「・・・・・・」
何とかなるでしょ。

午後10時。ようやく仕掛け作りを始めた。きっと大会は、少ないキスを如何に多く釣るかの勝負になると見た。トラブルしない、手返しを早くに重点を置いて、少し太めの仕掛けにした。鈎はキスR7号、6号、キススペシャル5号。モトスはすべて2号ホンテロン、ハリスは1号ホンテロンにした。気が付いたら、既に12時をまわっていた。
「やばい、寝る時間がなくなる。」

6月27日 大会当日
午前3時に目が覚めた。雨はまだ降っていた。シマノHPでジャパンカップ情報をチェック。
中止の書込は無い。「決行だな。よーし、がんばるぞ。」30分後。新松原に向けて出発した。途中コンビニで朝食を取り、5時50分に集合場所に到着した。空が次第に明るくなり始めた。

「拙者さん、今どこですか。」キスハンターさんが心配して電話してきた。
「集合場所にただ今着いたところです。」
「早く大会事務局に、参加通知書無くした事を言いに行った方がいいですよ。」本部テントに着いた。
「すみません、参加通知書無くしました。」
「ここに名前書いて下さい。」思ってより簡単に済んでしまった。ゼッケンが入った封筒を選んで、帽子とステッカー、携帯用灰皿をもらった。ゼッケンを見たら62番だった。何だか少し緊張してきた。

そこへ、愛宕浜漁協さんから電話が入った。
「今日は大会やるの。」
「もう、受付しましたよ。6時からスタートです。」
「わかった、応援に行くね。」この雨の中、拙者のラッキーパーソン愛宕浜漁協さんが来てくれる。心強い。
周りを見ると、みんなタックルをセットしていた。拙者もタックルをセットし、レインウェアを着て、長靴を履いた。そー言えば、昨日、國さんが傘を持っていた事を思い出し、傘を差していった。


大会本部前に全員集合。ゼッケン順に並んだ。國さんも、キスハンターさんも、拙者とはゼッケンが離れているので、バラバラだった。総勢110名。まるで長槍を持って戦いに行く武士の集団のような迫力だった。半数以上が、白い竿(キススペシャル)のオンパレード。圧倒的人気。4月の北九州でのキャスティング大会の時に見た事ある人ばかり。
みんな強そう。國さんが近づいてきた。
「おはようございます。がんばりましょう。」

そして、大会の説明が始まった。
「5時40分頃からゼッケン順に浜に向かって下さい。」
「6時に笛の合図で1回戦がスタートします。」
「9時までに本部前に集合して下さい。検量します。」
「検量の結果、上位20%まで22名が2回戦に進出します。」
「2回戦の上位5名がセミファイナルに進出できます。」
「大会エリヤは汐入川から東側の川までの間とします。」
「ではクーラーチェックを行います。」

予想以上に広いエリヤが大会会場になった。ゼッケン順にクーラーチェックが終わり、いざ出陣。浜へ向かって思い思いのポイントへ向かって行った。拙者はもちろん、國さんの後を追いかけた。國さんはたぶん、昨日下見した付近に入る作戦だ。
15分位歩いたら、國さん発見。やっぱり思った通り、下見した付近にいた。
「國さーん。」

「この場所か、向こうの波がある所と迷ったんですよ。」
「それじゃ、私は向こうに入ります。」と拙者はさらに東へ70m位行ったところでクーラーを置いた。隣の人とは20m位離れていた。思ったより近くない。「よかった。」

雨は相変わらず降っていた。力糸をガイドに通し、30号のデルナー天秤をセットした。まずはキスR7号の3本鈎にした。こんな雨の中で釣りした事ないので、やりづらい。
でも条件は全員同じだ。気を取り直し、時計を見た。既にスタート時刻の6時を過ぎていた。國さんの方を見ると、既に釣り始めていた。よーく見ると、傘をクーラーの上に広げていた。

「なるほど、傘はこうやって使うのか。」
「餌のチロリが雨に濡れないようにかな。」拙者も同じようにした。ようやく仕掛けの準備ができた。
落ち着いて、第1投目。岸までゆっくりとさびいた。2匹のキスが付いてきた。幸先良いスタートだ。ところが、その後さっぱりアタリが無い。気が付いたら、もう6時半。まだ2匹だった。

「そー言えば、まだ一服してないな。」投げた後、置き竿にして、タバコに火を付けた。「旨い。」生き返った。

遠くから派手なレインウェアの人が近づいて来た。よーく見たら、愛宕浜漁協さんだった。「どんな。」
「おはようございます。2匹だけですよ。」
「その後アタリ無しで、一服中です。」
「休んでないで、釣らなきゃ。」

気持ちも落ち着いた。鈎を7号から6号に落として、投げた。さびいていたら、3色位で久しぶりにアタリ。2匹ゲット。さすが、愛宕浜漁協さんのミラクルパワー。それから少しずつだが、数を増やしていった。
開始から1時間半位で10匹。ほとんどがピンギスだった。相変わらず雨が降っていた。愛宕浜漁協さんは、拙者の後ろで傘を差して立っていた。拙者がキスを釣り上げる度に、「おー来たね。よしよし。」と声援を送ってもらった。「國さんは判ったけど、キスハンターさんはどこかな。」「たぶん、本部に近い所だと思いますよ。」「探しに行くね。」愛宕浜漁協さんは、本部の方へ去っていった。

アタリが無いまま、もう8時になってしまった。本部までの戻り時間が15分として、残すところ、あと40分位だった。5号鈎に落とそうか迷ったが、そのまま6号で行くことにした。
1匹づつだが、ようやくアタリが出始めた。1投毎に1匹釣れ始めた。あとは時間との勝負だった。時間ぎりぎりまで粘った。隣の人はもう納竿していた。そして、最後の1投。大きなアタリが来た。20cmオーバーを期待したが、何だか違う。
顔を出したのは20cm位のフグとピンギス1匹だった。これで納竿。8時45分。急いで片付けた。

大会本部まで競歩のように歩いた。
「もしかしたら、間に合わないかも。」50m位先に2人。100m位後ろに1人歩いていた。「たぶん、大丈夫だ。」「全部で20匹も無い。少ない。」「でも、全力出したし、満足満足。」本部に着いたのは9時1分。よく見ると、検量の為に皆並んでいた。「余裕で間に合った。」

ちょうど國さんが検量していたので、近くに行って見た。
「國さんすごいですねー。」國さんは自信たっぷりの笑顔。それもそのはず。20cmオーバー数匹含めて、拙者の3倍位の釣果。
「國さん、さすがです。」
「拙者さん、何匹釣れましたか。」
「たぶん20匹足りない位です。」
「その位だと、1回戦突破ですよ。大丈夫。」
「まさか、だめですよ。」

拙者はタックルもクーラーも車にしまい込んでしまった。そして検量に臨んだ。他の人が手にしている釣果を見て少し安心した。「みんな結構釣ってないんだ。」検量の結果は17匹299gだった。

キスハンターさんを見つけた。「キスハンターさん、どこで釣ってました。」「みんな遠くまで歩いて行って、元気ですね。」
「本部の近くで釣ってましたよ。」
「キスハンターさんの釣果はどうでした。」
「だめだった。少ない。」元気が無かった。
「お疲れさん。これあげる。」
と愛宕浜漁協さんがジュースを差し出した。
「すみません。ありがとうございます。」おかげで生き返った。

「國さんはやっぱすごいね。一番やね。」
と愛宕浜漁協さん。
「そう言えば、chichiさんはどうしたかな。」と思い、電話してみた。
半年振りのご対面だった。
「chichiさん、どうでしたか。」
「だめです。少ない。」chichiさんも元気が無い。

検量の集計結果が出た。
「2回戦に進出された22名を発表します。」
「呼ばれたら前に集まってください。」
「1位、國さん810g。」やっぱり國さんすごい。・・・・・

「17位、拙者さん17匹299g」やった、17位だ。嘘みたい。
「拙者さん、すごい。」みんな、拙者の1回戦通過に驚いた。
「初出場で1回戦突破おめでとうございます。」
「私は作戦ミスでした。」とキスハンターさん。

「それでは、2回戦を開始します。」
「タックルを持って順番に並んでください。」
やばい、タックルは車の中だった。走って車に戻り、タックルの準備をした。
「拙者さん、早く早く。」とキスハンターさんが心配して車まで見に来た。
「早く行かないと、棄権になるよ。」
本部に戻ると、すでに2回戦の説明が終わっていた。國さんは既にスタートしていた。2回戦の釣りエリヤは1回戦と同じだった。釣り開始は9時45分。釣り終了は11時45分。

拙者もスタートして、歩き始めた。後ろを見ると飛幡サーフの会長が歩いていた。立ち止まって待っていたら、
「待たんでいいぞ。歩け歩け。」結局、ポイントまでの約15分、一緒に歩いた。
「ピーー。」歩いている途中で、2回戦開始の笛が鳴った。

國さんは1回戦とほぼ同じポイントに入っていた。左右を挟まれて、とってもやりにくそう。さすが、1位になると、マークもきついみたいだ。拙者は國さんの70m位東側にクーラーを置いた。鈎は最初から、6号の3本鈎にした。数投するがまったくアタリ無し。雨が上がり、徐々に蒸し暑くなってきた。そのうち、愛宕浜漁協さんとキスハンターさんがやってきた。

「どげんね。」
「だめです。アタリ無いです。」
「國さんもダメみたいよ。」
そーか、國さんも。たまにアタリがあってもフグ。仕掛けが消耗した。開始から1時間で釣果無し。遠くも近くもまったくアタリ無し。
そのうち、アタリが散発的に出始めた。
「拙者さん、今何匹釣った。」
と愛宕浜漁協さん。

「じぇんじゃんダメです。4匹だけ。」
「他の人も釣れてないみたい。がんばれー。」
しばらくすると、chichiさんとCBさんがやってきた。
「シマノサーフカスタムですね。懐かしい。」
「投げ釣り始めた頃、これ使ってましたよ。」とchichiさん。

「3本鈎やね。1回戦からずっと3本鈎でやってたんですか。」とCBさん。
拙者の後ろには、愛宕浜漁協さんとchichiさんとCBさんの3人。
「愛宕浜さん、こちらサーフの花道のchichiさんですよ。」と拙者。

みんなの輪がまた広がった。よかったよかった。

周りを見ると、遠投している人もいれば、近投の人もいた。2色位の所が、少し深くなっていて、そこを狙っているようだった。その辺りを探ってみた。数投目にようやくアタリがあった。しかし後が続かなかった。
終了時間まで残り5分。6匹しか釣っていなかった。最後の望みをかけて、仕掛けを投入した。ダメだ、アタリなし。
「ピーー。」タイムアップの笛が鳴った。
「お疲れさん。」
と愛宕浜漁協さん。
「どうもありがとうございました。」
3人に挨拶した。本部までの長い砂浜を、みんなで歩いた。國さんは渋い顔。ベタマークしていた隣の人が結構釣っているようだった。ゆっくり歩いたので本部まで20分以上かかった。みんな疲れた顔。

本部に着いたら、すでに検量が始まっていた。みんな結構釣っていた。特に、拙者よりもさらに東に入った人達は大漁だった。拙者の記録は6匹108gだった。國さんは260g。
そして最終結果が発表された。
1位、456g。
2位、395g。
3位、329g。

りっぱなトロフィーと副賞をもらっていた。上位5人までがセミファイナル進出。國さんは残念、セミファイナルに進出できなかった。「17位、拙者さん。6匹108g」1回戦と同じ、17位だった。副賞はシャンプーとハンドソープのセットだった。「やりましたね。初出場で17位、おめでとうございます。」とキスハンターさん。

「いやー。まぐれですよ。」そして、セミファイナル進出者は表彰台で記念撮影。その後、シマノグッズの抽選会。最後に全員で記念撮影をした。

「お疲れ様でした。今日はどうもありがとうございました。」と拙者。
「それじゃ、お疲れ様。気を付けて。」とキスハンターさん、愛宕浜漁協さん、chichiさん。車に戻ったら、急に腹が減ってきた。

コンビニで買った、冷やし中華を食べている時。
「拙者さん、お疲れ様でした。」國さんがやってきた。
「お疲れでした。がまかつの時もよろしくお願いします。」と拙者。

その日の夜。夕食時。
「シマノのジャパンカップ九州大会で110人中17位だったよ。」と拙者。
「それで。何。自慢。」と次女。
「別にそういう訳じゃないけど。初出場ではすごい事なんだって。」
「ふーん。別にどうでもいい。」と長女。
「小さなキス釣ってきて、かわいそうじゃない。」
「食べられるだけ釣って、あとは放してあげたら。」とカミさん。
「今度、アジ釣ってきて。」と長女。
「私はイカがいい。それとカニも。」と次女。
ハイな気分が思いっきりブルーになってしまった。

<あとがき>
拙者のトーナメントドキュメンタリーに登場していただいた皆様、皆様に許可無く、勝手に書かせていただきました。できるだけフィクション無しで書きましたが、
「えー、そんな事言った覚えないな。」
「私はそんなキャラじゃない。」
という方もいらっしゃるかもしれません。もしくは、
「なんで、私が登場しないの。」
という方もいらっしゃるかもしれません。
何卒お許しを。
次回はG杯。がんばります。