2007九州キス釣り王座決定戦Jerryさん参戦記

新松原海岸へ:腹が減っては戦ができぬ

昨夜は最終便で東京から戻ったため結局眠れず。しかし何も食べてないのでおなかは猛烈に減っていた。むらさきさんと一緒に、國の運転する車で国道3号線を走る。途中立ち寄ったファミマでおでんを注文、ダイコン・厚揚げ・コンニャク・てんぷら・昆布を注文、國とムシャムシャ食べているとむらさきさんが爆笑した。

「早朝からおでんすか?國さんもjellyさんも凄いねえ!」

笑われながらも全て辛子をつけて平らげる、昨日までの低気圧の影響か風が残り、肌寒い。東郷で国道からはずれ、車は一路岡垣町、新松原海岸へ。朝6時、空も明るくなってきた。海岸入り口のでこぼこ道を抜けると、すでに大勢の人と車。対岸にはかなりのサーファーも見える。

やはり!海はかなりうねりが残る。おにぎりをパクつきながら仕掛けを考える・・・また食ってやがる!むらさきさんが苦笑しているのが横顔からわかる。國は?やはりおにぎりを食べながら竿を撫でている。FMAは朝から良く食べる。

あまりゴミはないようなのでゴミ対策用道糸、ダイワで販売しているHYDROFINEはやめた。やはり飛距離も左右するだろう・・・前回拙者さんから買った安い06号の新素材糸を巻いたスプールをセットする。値段のせいか編みが粗く、しかし其の分パリッとした仕上がりで悪くない。リールはダイワのサーフベーシア45Ⅱ、これはとにかく巻き上げパワーにつきる。Z45Ⅱのような繊細さはないが、パワーがあるので早く浮かせたり、遠投のときには楽なリールだ。

竿は同じくダイワのコンペティションⅡ31号。これは國の薦めで購入したものだが本当にいい竿だ。適度な繊細さと意外なパワー!まだまだこの竿をほとんど曲げることが出来ないでいる。しかし31号という微妙な竿だけあって魚信も割りとよくわかる。これまでの大会での愛用竿はシマノのスピンパワーSCCXだったが、このコンペ31号を購入していらいプライベートも試合もこれを使うことが増えた。なかなか深みのある、ポテンシャルの高そうな竿だ。錘は流れがあるかもしれないからとりあえずデルナー30号。仕掛けは海辺で直前の勘に頼る。

1回戦:やはり食いは渋く群れは少ない

くじびきがあり、1回戦はブロックD、全部でIまでブロックがあるから真中くらいのエリアか。うねりと川のにごりを考えると、なるべく北九州側の方が釣れそうだが、まあまあか。移動してじゃんけん。エリア内はまあ、どこを選んでいいのかわからない。ブロックは5人、ジェントルな感じの皆さんだ。トーナメントはこうではなくては!

しかし、海である・・・・かなりうねりがきつい。こんな遠浅な海で波がうねる時に釣った経験がないので作戦の立てようが無い。とりあえず競技キス5号のモトスが1.2と細めの仕掛けをチョイスする。ガン玉を打つかどうかはまあ様子を見るとして、仕掛けは流されにくい細めを使うことにした。とりあえず6色。かなり流れもきつい。縦のうねりと横の流れ、これは難しい釣りになるだろう。

一投げ目で1匹かけた人がチラリホラリと・・・2投げ目で10gピンが1匹きた、どこで釣れたかは不明である。朝一のゴールデンタイムを逃してしまったが、まああまり釣れなさそうなので気にしない。しばらく遠投していたがピン1でその後は続かず、30分経過。右隣に移動する。この大会は30分交代2時間半でエリアを平等に回るシステムである。公平でいいルールだ。

4色付近で波が大きく立ち、3色付近まで暴れて流れ出す。このあたりに大きなかけ上がりがありそうだ。この渋さでは波裏で遊ぶキスと、たまーに回遊してくる良型、この両方を狙う必要がありそうだが、良型が流れてくるエリアはどうも遠そうだ。最初の一投げあたりで少しいい型を釣っていた人がいたが、近所ではその後あまり続いていない。自分は最初の30分は遠投中心でピン1匹、ということはそろそろ遊びピンをかき集めないことには、良型が拾えない場合苦しくなる。

5色投げて近めを探り始める。4色からガンガンあたりがあるが、河豚・河豚・河豚のオンパレード!仕掛けは毎投とっかえひっかえ、針がないやらグチャグチャやら!しょうがなく太目のごつい仕掛けに変えるが、流れに押されやすく釣り難い・・・そんなこんなで2箇所目が終了、計ピン2匹とやばい状態に!

3箇所目に移動し、しばし良型の理想を忘れて2色付近の浅瀬でピンを丹念に拾う。河豚交じりで1匹か2匹ピンが付くという感じで5匹追加。計7匹・・・2色も河豚だけになったので遠投に切り替え!5色半あたりでやや大きめの30gクラスが混じった所で3箇所目が終了。しかし遠投でいい型が混じる可能性が見えた。しかしそううまくは続かず、4箇所目ではふたたび当たりの無い遠投を諦め、ピンを拾う忍耐の釣りが続く。

遠投、近場と釣れなくなり、やむなく激河豚ゾーンの3色付近も探る。しかし相変わらず河豚は活発なものの、時折ピンが混じる。止めると河豚のみになるので3色に1,2ヶ所あるHITポイントを乱暴に引いて探る。上手くいくと1匹キスが混じる。そして計10匹とやっと二桁に乗せるもおそらく自重は100g弱くらいだろうか・・・

さあ、追い込まれた。試合はあと30分。河豚はいるものの確実なのは3色河豚交じり。あとはやはり遠投でなんとか一匹良型を・・・
6色~5色を探り、魚信が無い時は3色にぶっこんで河豚に混じるキスを狙うことに。ほぼ毎回仕掛け変えるはめにはなるものの、毎投どちらかで魚がかかるようになる。そして待望の良型(といっても40g程度か)が入る。これでおそらく150g程度、通過ポイントのボーダーあたりか?・・・なんとはなくだがほぼ皆同じ2桁程度のピンを持っている感じがする。もう1匹と良型狙うがかなわず、ピン4匹追加して計15匹。微妙なラインだろう。

本部に戻り検量。やはりまんべんなく釣れていたゾーンで誰も僅差だが首位通過。ほっと一息つくが決勝まで行ったら仕掛け数が持つだろうか?などと獲らぬ狸の皮算用。まあ、考えてもしょうがない。少し腹が減ったが、雉打ちしたくなると困るので、今流行りの大豆バーを1本かじり麦茶を飲む。

聞いた話だと1色でも釣れていたらしい!しまった探ってなかった。ちょっと無駄をしてしまったか。
拙者さんをはじめ、拙者チームのメンバーはだいぶ2回戦に残ったようだ。相棒の國も元チャンプらしく余裕の通過。今年前半は北九州チームに惨敗が続いたので、いいリベンジが出来るかも知れない。福岡と北九州、なにかとライバルな100万都市同士。この二都物語はキス釣りでも同様なのだ。しかし私は生まれは北九州の小倉、育ちは福岡・・・なにごとにも中途半端である。

2回戦:相変わらず群れは少ない・・・

そして2回戦が始まる。この1回戦勝ち抜きから2名は厳しい勝負になりそうだ。エリアはB、一緒に車で来たむらさきさんと一緒である。二人で抜けれると最高だが・・・2回戦はおそらくピンをかける技術はみな紙一重、良型がはいるや否や、が勝負を分けるはずだ。
案の定、海はいよいよ渋くなっている。最初、遠投するもまったく生体反応がない。3投げ程度で遠くを諦め、河豚交じり3色ゾーン中心に攻める。少し河豚が減っており、めったに連ではこないもののピンがわりと高い確率で混じる。周りをみると3色くらいなげてより近場をさぐるか、遠くを探るかで、あまりこの3色ゾーンは攻めてないように感じる。河豚のイメージが強いからだろうか。


近場で釣れているキスよりも、中距離の3色あたりだと、ほんの少し3g分くらい型がいいのでは?という気がする。気のせいか?
一時魚信が止まったので、河豚もいないとキスも来ないと思い、ビーズ仕掛けを試してみる。キスR6号、青・桃・白の3色ビーズがつき、ハリスもイエローとピンクの蛍光の仕掛けである。その仕掛けでデッドスローに3色をさびくと、再び来るわ来るわのフグ三昧!それにつられてキスも復活してくる。

Bエリアも予想通り、ピンの持ち合い。しかも皆苦戦している感じだ。ラスト10分、その中では5匹持っているのは悪いほうではないようだ。ラスト一投げ、極小ピンを追加して計6匹。まあなんとかなるかな?と思っていたところ隣の方がラスト超遠投でかなりの良型をあげた!50gくらいあるんではないだろうか?これでいっきにわからなくなった。あの1匹で当選確実!ということは残り一枠・・・少しでもいい型が入った人がいればその人が通過か・・・と思っていたらむらさきさんほかもう一人の方も最後の良型を目の当たりにして撃沈ムード。良型持ちはいないのか?

2回戦の検量、75gでなんとか抜けた。しかし誰かに1匹でもまあまあの魚が入れば1発逆転だったわけで、どう転ぶかは半分運のような2回戦だった。このあと主催者より昼食の冷やし中華が提供!海で食べると飯の旨さは倍増する!

2回戦通過者8名、昨年の優勝者、それに敗者復活戦で勝ちあがった2名が加わり、11名で一発勝負、1時間の決勝戦だそうだ。残念ながら相棒の國が落ちた。うーん、最近成績安定の國もこの渋さにやられたのか。その國がいたDゾーンはどうやら2回戦最大の激戦区だったか?残ったのは北九州の雄、安部組長と拙者さん!手ごわい2人に囲まれていたようだ。しかし九州の強豪は本当に安定感がある人が多い。かならず上位に顔を出す。

決勝戦、最後は場所選びが肝心か・・・相変わらずウネリが残る海を睨みながら決勝の戦い方を想像する。しばらく時間があくから少しは魚も戻るだろうか・・・1投げ目が重要だな。2投げしてこなければ移動。あとは成り行き次第。疲れた足で再び浜辺を歩く。

決勝戦:ヒネの魚信は麻薬!

さあ肝心の場所選び、少し海辺から離れて歩く。一瞬潮が少し引いた際に少し形状がみえた。大きな変化のあるところと小さな変化があるところがなんとなくわかる。さすがに先に入った人は大きな変化の場所にはいり、すでにあきはなさそうだ。少し歩いて小さな変化の右手に入る。左手には拙者さん。これはもしここがいい場所ならどちらかがいい目を見るかもしれない。リップカレントの右サイドか左サイドかは運次第。ちょっとした形状の違いでかなり差が出ることが多い。

仕掛けはキススペ5号の8本をセレクト。おそらく最初の2投げが肝心。しかし遠投か近投げか迷う・・・プレッシャーからしばし開放された海、確かに良型も1投目がチャンスであることは確かだが、近場連を狙うなら1投げ目しかないのも確か・・・開始の合図、迷いながらアドレスにはいり、なんとなく近くに投げる。4色あたりに着水。糸ふけをとる。ん?流れが収まっている。河豚を警戒し、高速さびきで3色へ突入、小さな魚信が連発、状況を見たくて早めに回収。上出来4連、かなり小さいから30gくらいか!しかし好スタートである。皆が次を投げるて群れが散る前に、急ぎもう一投げ、同じポイントで今度は2連極ピン。2投げで6匹。これは小ギスの群れがはいったか?しかしそううまくはいかず、その後は続かない。やはり100gラインが勝負か。時間はあと45分、投げれてあと5投げ。目標二桁、願わくば1匹良型を!

周りを見ると近くに投げている人も1匹回収が多い。やはり群れは小さいというか、小さな群れはすでに離散し、単体の遊びキスを丹念に釣るしかないようだ。といことは遠投の方があわよくばの可能性があるので有利と遠投に切り替える。しかし5色あたりで魚信があるものの針がかりせず、ハリスが切られている。河豚も分散したようだ。これはやっかい。待つとやられる。6色くらいに投げて、早めに乱暴にさびきながら、小さなかけ上がりで少し止める。再度少し乱暴目さびいて河豚を避けながら小さなかけ上がりを探す。5gくらいの極ピンがメインになるもなんとか2回に1回は魚をつけるいいペースで2匹追加し、計8匹。

すると隣で拙者さんがいい型をあげた!あれが来るか来ないかだよなあ・・・やはりGOODポイントは左サイドだったのか?しかし羨ましい!なんとかあのサイズを釣りたい、というかあれが1匹入らないと勝つことは難しいだろう。
よし!ここでピン狙いはやめ。あとは怪しい6色あたりであわよくば良型待ちに切り替える。ラスト10分までは遠くで狙って、もし追加できなければ最後2投げ思い切り近場に切り替えよう。

遠投に切り替えて2投げ目で投擲失敗、思い切りライナーになってしまう。糸ふけとると丁度6色・・・近場狙いにするか?まあ少し待つか・・・1分ほどパタパタ釣りで粘る。すると、「グン」という魚信、良型の盛期のキス独特の力強い魚信だ!ああ!楽しい!ストレスのたまる小ギス釣りの中、久々の竿の手元まで来る手ごたえ!後ろで國が見てるので思わず振り返り、笑ってしまう。「良型はいったのバレたな!」と思った瞬間緊張が走る。

「とりこまないと笑われる!」ちょっと慎重にリーリング。遠くからまだ引っ張る力がある。これはいい型だ!バレないでください!ドキドキしながら取り込み。新松原の平らな波打ち際に力強い魚体が現れる!いきなり拍手の嵐!いやあ、嬉しいものです。この拍手だとそんなに良型はあがっていないのかもしれない。

のこり15分、あと2投げ!もう一匹いいの釣りたい!ヒネの魚信は釣り人を惑わせる。あの魚信をもう一度!ひょっとすると近場で小型を追加したほうがいいのかもしれないが、ヒネの魚信は麻薬だ!それに拙者さんもいいのを1本持っている。ほかにも当然いるだろう。良型2本はいらないと勝てないかもしれない。大会中はどんなに釣っていても不安になる。ましてやこの渋さ、誰に勝利の女神が微笑むかわからない。

もはや頭の中は妄想で一杯、手の中にはさっきの振動の余韻が残っている。しかし物事はそううまくいかない。それでも最後の1投げで小型を1匹追加する。これで目標の10匹。イリコのような極ピンが3匹いるものの、さっきの良型があるから120g程度はいくだろう。試合終了!数人におめでとうと声をかけられる。しかしなんと応えてよいのか?だって良型は1匹、何人かは釣れているだろう。

半信半疑で検量へ、丁度120g!どうやら勝ったらしい。優勝すると来年の開催地を決められるという。福岡には沢山美しい海岸があるが、駐車場を考えると・・・結局同じ新松原にした。

競技の進行、ケータリングなどなど・・大会を運営された皆様、本当にお疲れ様でした。様々な地区の選手と釣りを楽しめる、フレンドリーな素晴らしい大会でした。こういう大会があることで九州でも投げ釣りが盛んになってきたのですね。全体的には渋い釣果の中、2位はやはりというか強豪、北九州の安部組長、2g差という僅差で拙者さんが3位にはいる。福岡勢で北九を挟み打ちという格好になった。

投げキストーナメントのシーズンの最後を飾る王座決定戦。2007年のいい締めくくりになった。FMAの相棒の國は過去2連覇している。来年はその記録に挑戦だ。今年はあと1回くらい海にいけるだろうか・・・一度九州の落ちキスの連打を味わいたいな。
「また来年、新松原で!」さようならの挨拶を交わして選手たちはそれぞれ帰ってゆく。また来年この海で、素晴らしい魚たちと仲間たち楽しく遊べますように!